<SF>
一番多く読んだけれど、正直、飛び抜けた作品が少ないかな。
いや、もちろん『
われはロボット』なんか素晴らしいのだけれど、あまりにもメジャーなので今回は除外。
あげなかった中では、ジェイムズ・P・ホーガンの『
星を継ぐもの』のシリーズも捨てがたい。
・キルン・ピープル デイヴィッド・ブリン
陶土で出来たクローン人間という発想が面白かった上に、私が好きなSFとミステリという二つのジャンルを融合させて、かつ、人間性にまで踏み込んでいった意欲作。
ちょっと量が多いけれど、結構すんなり読めるので、少し時間のあるときにはお薦め。
・ねじの回転 FEBURUARY MOMENT 恩田陸
純粋なSF作家の作品ではないけれど、さすがに恩田陸だけあって、良い出来。
・万物理論 グレッグ・イーガン
多くの材料を、見事にまとめた一冊。
これだけの内容を詰め込んでおきながら、話を散漫にさせずに綺麗にまとめている手腕はお見事。
読み応えあり。

<ミステリ>
激戦区。伊坂幸太郎関係は多めに読んだので候補が多くて困ったし、東野圭吾の『
宿命』『
探偵ガリレオ』や、横山秀夫の短編、それから『
銀輪の覇者』も捨てがたい。
・チームバチスタの栄光 海堂尊
年末ギリギリに読んだけれど、直近なのでインパクトが強い点を差し引いても、これは外せない。
舞台設定、人物造詣、会話、医療現場の人間が書き出す臨場感。
文句無くお勧めの一冊。
・ラッシュライフ 伊坂幸太郎
軽妙なテンポと洒脱な会話。幾つもの物語が交錯して、最後に一つの絵が出来上がる構成も素晴らしい。
殺人という後ろ向きな物語を絡めつつ、最後に清々しさを生む前向きな伊坂幸太郎の世界がよく出ている一冊。

・ゲッベルスの贈り物 藤岡真
みごとにしてやられた一冊。バチスタのような人物造詣の上手さや、ラッシュライフの様な軽妙さはないけれど、見事に「騙して」くれる一冊。

<科学>
一口に科学といってもジャンルが広くて、いろいろな本があった。海外の訳書が多かったけれど、日本人、なかでも福岡伸一氏の本もすばらしかった。
後半は量子力学に関係した本が多かったので、そこからも一冊。
・プリオン説は本当か 福岡伸一
『生物と無生物のあいだ』とどちらにしようか困ったけれど、あえてこちら。
ノーベル賞を取っている学説に真っ向から反論する、刺激的な一冊。

・暗号解読 サイモン・シン
暗号という難しいテーマを、非常に判りやすく説明してくれる一冊(上下巻だけど)。
ポピュラーサイエンス系の読み物として、このテーマでこれだけ判りやすく書いてくれる本は少ないと思う。
さすがに後半は少し難しいけれど、色々なエピソードに溢れていて楽しく読める。
・宇宙をプログラムする宇宙 セス・ロイド
宇宙を巨大な量子計算機として見立てて、量子力学や、量子コンピュータについて書いた本。
量子力学関係の説明が、最近読んだなかでは一番良かったのが本書。
これも、難しいテーマを解りやすく書いてくれている良い本。
類書の『宇宙を復号する』あたりと併読すると、また視点が広がって良い感じ。

<その他>
・幽霊人命救助隊 高野和明
涙腺がゆるい私が、今年一番泣かせてもらった本。
多少お説教気味なところもあるけれど、だんだんと前向きになっていく救助隊の面々が過去の自分に向き合って、それを乗り越えていく様が素晴らしい。

・陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎
良いテンポ、洒脱な会話、隠された仕掛け。
気軽に楽しく読めて、読後感も良い一冊。

・サブプライム問題とは何か 春山昇華
世界的な問題になっている、米国サブプライム問題について詳しく解説した一冊。
どんどん傷口が広がって、これから実体経済に影響を及ぼしていく部分については記述が足りているとは言えないけれど、根本のところを書いた本としてお薦め。
![サブプライム問題とは何か アメリカ帝国の終焉 [宝島社新書] (宝島社新書 254)](http://images-jp.amazon.com/images/P/4796661557.09.TZZZZZZZ.jpg)
以上。
今年も、良い本に恵まれて、嬉しい限り。
来年も、良い本に出会えますように。
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