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旅立つマリニア(グイン・サーガ120) 栗本薫 

2008年04月12日 ()
読んだ本。 * 本・雑誌
旅立つマリニア (グイン・サーガ120) 栗本薫

古代機械による転送時に記憶を「修復」されたグインのその後。

この古代機械というのは、よくSFなんかで登場する、離れた場所に人を転送-テレポーテーションさせる機械のなのだけれど、転送時に干渉されて肉体の再生(治療)および、記憶の改ざんまでしてしまったのが新鮮。

あれほど可愛がっていたスーティや、ともに窮地を切り抜けてきたブラン、アモンと共に転送されてノスフェラスからパロに至るまでの道中の記憶を綺麗さっぱり消されてしまったグインを前に、あれこれと思い悩む、またそれを吹っ切って生きる人たちの巻。
小さな奇跡が一つ。驚きの新事実が一つ。そして、今後の展開に大きな影響をあたえそうな、謎の提示が一つ。
グインやケイロニアまわりは、ヤンダルクラスの存在が干渉してこない限り安定しきってしまって物語の展開が面白くないから、しばらくは、グインから外れたところでストーリーが展開するんだろうか。

旅立つマリニア (ハヤカワ文庫 JA ク 1-120 グイン・サーガ 120)

・・もちろん、ケイロニアに帰って、アキレウスとの感動の再会、シルヴィアとのドロドロした再会に、あと一巻くらい使うのだろうけれど。
--以下ネタバレあり--

グインの記憶は、完全には消されていないらしい。これが第5次の修正だというけれど、アモンとの戦い後に記憶が消えたのも、修正だったんだろうか? 遠距離転送故の記憶の混乱なのか、記憶の修正なのか、判断しかねるところ。過去の巻を紐解けば、グインが転送されたと思しき箇所をピックアップして、その後の記憶の混乱をたどればチェックできそうだけれど、なにしろ120巻あるから、前の巻をチェックするのは不可能に近い(苦笑)。ラゴンを呼びに行った時と、紅蓮の島と、あとは・・・誰か、ネットでまとめてるかな?

記憶が完全に消えているのではなく、覆い隠されているだけっぽいのは、なんらかの意図があってやっていることなのか、グインが何かの例外なのか、それとも、人の記憶のメカニズムに関するこの世界の定義せいなのか。。少し気になるところ。

この巻で、マリニアことフロリーとスーティの母子は、ミロク教の聖地ヤガへ。マリウスは、フロリーとリンダのやり取りを聞いて改心(!!)してパロに居残り。ありえない・・。マリウスのことだから、また、1-2巻したら、選択を後悔しているんだろうか・・? さすがに今回はそれは無いのかな?でも、やってくれたら、やっぱりマリウスだから、と受け入れられる気がする(笑)

そのマリウスの改心にも驚いたけれど、一番驚いたのは、堅物の見本かと思っていたヨナに、思い人がいたというくだり。なんと、ヨナ先生、あなたも人の子でしたか・・

ヨナ、フロリー、アリサと、比較的重要な人物にミロク教徒が増えてきて、しかも、ミロク教にその中心になるような者が現れたという話まで出てきて、しばらくはミロク教関係の動きから目が離せなさそう。
不戦を謳いながら、ちゃっかり防衛力は持っているみたいだし、魔道師もどきまでいるらしいミロク教。どんな動きをしてくれるのか楽しみ。

しかし、ミロク教徒と、まったく相反するヤヌス十二神教の世界とのギャップは面白い。ヴァレリウスの

どうして五十六億年後のことなんか考えるのが慰めになるんだろうな。変な人たちだ。

という下りには笑ってしまった。いや、まったく。私の感想もそんな感じ。

次回は6月。奥さんに悩ませられるグインの巻だろうか?

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[2008.04.12(Sat) 13:47] ファンタジーTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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神託の夢 デイヴィッド&リー・エディングス 

2008年03月28日 ()
読んだ本。 * 本・雑誌
神託の夢 デイヴィッド&リー・エディングス

4人の兄妹姉妹神が納める国々と、そこに侵略しようとする遺伝子操作?をする化け物”ヴラーなるもの”との戦いを描いたファンタジードラル国戦史第3巻。
テンポの良い語り口と、登場人物たちの楽しい掛け合いは健在。

前の巻で、妹神ゼラーナの治める西の土地を守る戦いに勝利した一同は、次なる防衛戦の舞台を弟神ヴェルタンの治める南の土地に定めて、移動を開始する。舞台を南の土地に移し、ヴェルタンと南の土地の人々の話が展開する一方で、この巻では、複数の視点で物語が展開する。夢見人達、マーグの海賊、トログ帝国の軍人、そしてヴラー側の視点からも。

過去のエピソードを語って、個々の登場人物たちの造形を深める一方で、明かされていく真実。そして、登場する新たな謎。


神託の夢 (ハヤカワ文庫 FT エ 1-52 ドラル国戦史 3) (ハヤカワ文庫 FT エ 1-52 ドラル国戦史 3)

--以下ネタバレあり--

あの人はあからさまに怪しいから、あまり意外性はないのだけれど(笑)

この巻で判ったこととしては、ヴラーの正体が神に近い存在ではなく、単(?)に異常に進化(変化?)した昆虫の様なものだというのがちょっと以外。てっきり、ヴェルガリアード物語のトラクに相当するような、神の遠い親戚かとばかり思っていた。そうなると、滅ぼすことによって、世界への大きなインパクトはないってことか。

いろいろな登場人物の過去や、他国の状況が判って面白いこの巻で気に入ったのは、ナラサンたち、トログ帝国の軍人のエピソード。「金を見るまでは動かない」という彼らのモットーが、ある意味誠実なものと考えられているのが面白い。対する、悪役のアマー教団の腐敗っぷりは徹底していて、泥棒の支援はするわ、おまけに彼らに自分の身内を襲わせるわ、やりたい放題。
その代表として出てきたジャルカン、基本的にどうしようもないやつで、周囲からも嫌われていて、立派に悪役を果たしてくれるのだけれど、彼が罰せられることになったきっかけが、実は「お世辞をいったつもりだった」というのが、なんとも皮肉なユーモアで面白い。

いろいろなことが明らかになって、上手くことが運び始めているけれど、このまま一本調子に行くとは思えないので、どんな波乱があることやら。
進化していくヴラーの軍隊が、どんな風に裏をかいてくるのか、ちょっと楽しみ。

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[2008.03.28(Fri) 20:08] ファンタジーTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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ランドックの刻印(グイン・サーガ119) 

2008年02月13日 ()
読んだ本。 * 本・雑誌
ランドックの刻印(グイン・サーガ119) 栗本薫

あの、裏表紙の文章が、少年ジャンプの予告になってるんですけど。

ランドックの刻印 (ハヤカワ文庫 JA ク 1-119 グイン・サーガ 119)ランドックの刻印
・・・あれ?Amazonに画像まだ無いや

要は、間違ってるってこと。
正確には、前の巻の内容とゴッチャになっている。
裏表紙の通りの展開を意識して読んでいたら、肩透かしを食らってしまった。。
こういうのも珍しい。
--以下ネタバレあり--

読み進めながら、「まさかやらないだろうな」と思っていたら、そのまさかの"修理"をしてくれて、何ともびっくり。これで、今回の旅の間にあったことは、無かったことになってしまうのか・・一体、この影響はどんな風に出るのやら。
記憶が戻って、国王としての今後の行動に問題がなくなったのは良いし、ランドックとの絡みで問題提起がされたのは良いのだけれど、また今回の旅の関係者との人間関係の再構築で、グダグダと時間を取られてしまわないかが、ちょっと心配なところ。その中で、うまくランドックへの不信へとつながっていくんだろうか。
しかし、最近のちょっと不安定で弱気なグインを見慣れていたもんだから、"修理"された後のグインは、なんとも堅っ苦しくて、不自然な感じがしてならないのが不思議。それとも意識してそう書いているのかな?

堅っ苦しいグインと対象的に、どんどんやわらかくなる魔道師宰相ヴァレリウス。すっかり、当初背負っていた影の欠片もない三枚目が定着して、ナリス化しつつあるヨナと良い対象を成している。今回は、古代機械に振り回されて、おたおたするばっかり。うーん。上級魔道師の矜持は一体どこへ。。
まあ、良いキャラではあるのだけれどね。


あとがきに書かれているけれど、著者が胆道癌の治療に入り、シリーズの継続に心配が出てきている本シリーズ、幸いにして手術後の経過は良好なようだけれど、ぜひしっかり体調を整えて完全復活して、シリーズを書き続けてもらいたい。

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[2008.02.13(Wed) 20:19] ファンタジーTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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影の棲む城 

2008年02月07日 ()
読んだ本。 * 本・雑誌
影の棲む城 L・M・ビジョルド

『チャリオンの影』につづく、「五神教シリーズ」第2弾。
チャリオンの影』は、昨年に出版された翻訳ファンタジーの中でも、トップクラスの出来だったと記憶している。
前作の主人公は、ちょっとトウがたった騎士だったけれど、今作の主人公は、前作のヒロインの母にして、現在は女王の母、国太后の未亡人、イスタ。
むむ、著者は、お年がいった主人公がお好きなようだ。

この世界には、五柱の神が存在している。
 春の「姫神」。未婚の少女を守護し、学びとさまざまな始まりを司る。
 夏の「母神」。親となったすべての女を守護し、健康と医療を司る。
 秋の「御子神」。狩と戦いと収穫を司る。
 冬の「父神」。親となったすべての男を守護し、正義と安らかな死を司る。
そして、
 すべての魔を支配する「庶子神」。孤児や私生児、同性愛者などを守護し、季節によらないすべての災厄を司る。

第5の庶子神は、北方の国々では魔そのものとされて忌み嫌われ、それらの地域では庶子神を除いた「四神教」が信仰されている。
同じ根を持つ宗教ながら、「五神教」と「四神教」は敵対しあっていて、今作でも、そのあたりの事情が物語に絡んでくる。

これらの神々が、非常に人間世界に「近い」のがこの世界の特徴だろうか。
特に「死の魔術」と呼ばれる奇跡を使うと、誰でも簡単(?)に相手を確実に殺すことが出来たりして、神の魔力が人の世界に近いところにある。
その神といえば、人間が自分たちの存在を勝手に解釈して争っているのに、それを正すことをあまり真剣に行っていないように見える。
いや、行っているのかもしれないけれど、一部の事情しか考慮していなかったり、人の願いをかなえるのに、意地の悪い実現方法を取ってみたり・・・
うん、なんとも魅力的じゃないか。

影の棲む城 上 (1) (創元推理文庫 F ヒ 5-4)影の棲む城 下 (3) (創元推理文庫 F ヒ 5-5)


これは、そんな神々のいる世界。かつて、神の道具「聖者」として挫折を経験した女性が、新たな人生を求めて旅に出る物語。
ジュヴナイルや、通常のヒロイックファンタジー的な物語と今作が違うのは、
--以下ネタバレあり--

なんといっても、主人公の年齢が高いところ。
年齢が高いがゆえに、それまでの人生で経験した挫折が、重みを持ってキャラクターを形作っている。
かつての挫折を糧にして、重い心と体を引きずって前にすすむ主人公に味がある。この辺は、『チャリオンの影』と通じるところがあり、私の好み。

前作で明かされたとおり、イスタは、王家に掛けられた呪いを解くため、王の愛人にして重臣だったルテス卿を溺死させている。その罪を心に背負い続けていた彼女が、巡礼の旅の先で出会うのは、ルテス卿の遺児と、その異父兄弟。彼らに掛けられた魔法に、再び「聖者」としての力を取り戻した(再び役目を押し付けられた)彼女が立ち向かっていく。
神に毒づきながら、事態に立ち向かっていくイスタが、なんともたくましい。さすがは「おっかさん」って感じ。


そして、今作で深くイスタに関わってくる「庶子神」。
すべての魔をつかさどる者にして、セクハラ大王(笑)。
いや、困った神だ。彼を嫌う「四神教」の考えもわかるような気がする。まったく、信者は気苦労が耐えないだろう。こういう設定の神、結構好きだけれどね。

舞台設定、キャラクター、そしてストーリー。すべてにおいて楽しめた本。
今年は、このクラスを超えるファンタジーはどれだけ読めるかな?

さて、あとがき曰く。

さて『チャリオンの影』『影の棲む城』とさほど間をおかずに刊行されてきましたが

・・・・・。
えーっと、一年経ってるんですけれど。それって「さほど間をおかずに」ってことになるのかな?そりゃ、一人でこの文量の本を訳すのは大変だと思うけれど。。
できれば、次の最終巻?も、あまり間を置かずに訳してもらいたいところ。
ぜひぜひ。待ってます。

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[2008.02.07(Thu) 20:07] ファンタジーTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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蛇民の兵団 デイヴィッド&リー・エディングス 

2008年01月17日 ()
最近読んだ本 * 本・雑誌
蛇民の兵団 デイヴィッド&リー・エディングス

ドラル国戦史』第2巻。
世界は、古い神々と新しい神々が入れ替わる周期の境目。古い神々は、次第に力を失い始め、新しい神々は、まだ眠りを続けている・・はずだった時代。
それぞれが支配する土地を侵略しようとする「ヴラーなるもの」の軍勢を倒すため、4人の兄妹神は、周囲の土地から人間を集めて、「ヴラーなるもの」の軍勢に立ち向かわせる。
その一方で、兄神が連れてきた「夢見人」の子供達は、実は新らしい神々が姿を変えた存在で・・
というのがこの物語のあらまし。

前巻で海の向こうから連れてこられた反目しあう軍勢が、強力しあって「ヴラーなるもの」の軍(蛇民の兵団)に立ち向かう。
エディングス作品らしく、登場人物たちの掛け合いは健在。

蛇民の兵団 (ハヤカワ文庫 FT エ 1-51 ドラル国戦史 2)

周囲の偏見を利用して、なるべく目立たないように楽をしようとしてきたウサギの物語は、なかなか彼らしくて面白かった。でも、
--以下ネタバレあり--

目立つようになって、周囲に重用される立場もまんざらじゃない、というのも何ともウサギらしくて良い感じ。

その一方で、次第に数々の裏事情や、疑惑が明らかになってきている。
「ヴラーなるもの」の正体の一部。
夢見人の力が、すごく強力でること。
夢見人は、実は神としての記憶を持っているのではないか。
エレリアは、実はゼラーナをたくみに操っている?
ゼラーナは、記憶を失い始めているのではないか?(動転していただけ?)

などなど。
だんだんと明かされていく全貌に期待したい。

今のところ、エレリア以外の夢見人たちは、少し存在感が薄い。
この巻でゼラーナの支配する西部の物語があらかた片付き、次はヴェルタン支配する南部にうつるから、そこでもうすこしヤルターのことも語られるんだろうか?
次の巻に期待。

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[2008.01.17(Thu) 20:14] ファンタジーTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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