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対決の刻 

2008年02月26日 ()
読んだ本。 * 本・雑誌
対決の刻 ディーン・クーンツ

謎の敵から逃げ続ける、犬を連れた少年。自分をミュータントだという、手足が不自由な少女。殺人者であるという彼女の義父。重病の妹を支えて生きる私立探偵。
並行して走る複数の物語が絡み、やがて一つに集約していく。

”生きる価値”のない者、”生きていて苦しむ者”は、殺すことが慈悲なのか。
命の尊厳を問いかけながら、物語はハイスピードで疾走する。

クーンツお得意の、複数の物語が並行して進み、最後に一点に集約するパターン。ストレンジャーズの時が、この手法が一番光っていたかな。伊坂幸太郎もこういうのが好きだけれど、あちらは、時間のトリックを織り込んだ応用系。クーンツの方は、もっとシンプルにそのままの時系列で話が進む。

対決の刻 上 (1) (講談社文庫 く 52-5)対決の刻 下 (3) (講談社文庫 く 52-6)

この作品、上巻が663ページ、下巻が496ページ。
なぜ、上下巻の厚さのバランスがこんなに狂っているのかと、少し不思議に思いながら読み進めたんだけれど、
--以下ネタバレあり--

読んでみて納得。確かに、あそこで切るしかない。

そして、物語のポイントの一つは、クーンツ好きにはお馴染みの犬好き。
ただ、オールド・イェラーよりも、「ウォッチャーズ」のアインシュタインの方が、圧倒的に私の好み。オールド・イェラーは、確かに良い奴だけれど、今ひとつキャラが立っていないのが残念。
彼女自身の感情表現とかが、本人(?)のセリフとして出てこないのが、キャラが立たない原因か。そりゃ、細かい仕草とか、行動のギャップとか、書き方が洗練されてきているのは感じるんだけれど、クーンツの犬好きが先走ってしまっていて、犬に強い愛着を抱いていない読者が置いていかれているように感じる。


クーンツ的な風呂敷の広げっぷりと、案外あっけない敵の脆さは健在で、今回”カ^ティス”を追ってきた敵も、双子の銃撃であっさり撃沈。まあ、あれ以上、あそこで時間を割いても仕方のないところだけれど、もう少し引っ張ってくれても良かったかな。

登場人物が多くて、皆、個性的でキャラが立っているのだけれど、ノアの役どころは、ちょっと中途半端だった気がする。物語のテーマである、生命倫理の問題に直面した一人としての彼は必要だけれど、正直、マドックとの対決にノアは不要だったと思うので、もう少し彼の見せ場が欲しかったところ。

・・とまあ、文句をあれこれと書いたけれど、クーンツらしくテンポが良く、一気に読める一作。

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[2008.02.26(Tue) 00:57] サスペンスTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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奪回者 

2007年11月14日 ()
読んだ本。 * 本・雑誌
奪回者 グレッグ・ルカ

絶望的な状況にもベストを尽くそうとするプロフェッショナルの気概が心地よい。

前作の「守護者」がなかなか良かったので購入。
主人公のアティカスは、プロのボディーガード。
前作でパートナーを失い、クラブの用心棒を務めているアティカスは、偶然、かつて自分を慕ってくれていた娘に出会う。その娘は、アティカスが護衛していた男の娘であり、その男の妻とアティカスとは不倫関係にあった。

目的が見えない依頼人。目的が見えない護衛対象。自分達よりも遥かに協力な敵・SAAS。
勝算の薄い戦い。それでも、彼はプロフェッショナルとしてベストを尽くそうとする。

奪回者 (講談社文庫)

失ったものをただ嘆くことは許されず。
過去は追いすがり、美しい思い出は穢され。
一つ取り戻したことで、一つを失い。
望む解決は得られず、また一人孤独な道を痛みと共に歩む。
--以下ネタバレあり--

前作に引き続き、いまひとつ救われない物語。
もっとも、この設定で皆が救われるラストを想像するのは難しいのだけれど。。

ブリジットの件は、完全に自業自得だし。
ルービンを挟んでいるナタリーの立ち位置的に、ああいう展開になりそうなのは見えていたけれど、ブリジットが心の底を見せてくれた後だけに、なんとも痛々しい。
おいおい、アティカス、もうちょっとしっかりしてくれ。。

ちょっと感心したところ。
p193-p194の転換が見事。翻訳小説でこうやって綺麗に転換しているのは珍しい気がする。そりゃ、あからさまに調整すれば出来るだろうけれど、この作品の場合、自然にやっているので。。。偶然ってことはないよな・・訳者、良い仕事をしています。
とはいえ、やっぱり全体的には翻訳小説なので、翻訳モノが苦手な人は、受け付けないのだろうけれど。

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[2007.11.14(Wed) 22:30] サスペンスTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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陽気なギャングが地球を回す 

2007年10月31日 ()
読んだ本。 * 本・雑誌
陽気なギャングが地球を回す 伊坂幸太郎

ウソを見抜く達人、天才スリ、演説の達人(?)、精密な体内時計の持ち主、という、なんだか良くわからない4人組の銀行強盗が繰り広げるコメディ。面白い。

彼ら銀行強盗の4人組は、偶然遭遇した現金輸送車ジャックに、銀行から奪ったばかりの現金を奪われてしまう。4人組は、現金輸送車ジャックからスリ取った財布を手がかりに、奪われた現金を取り戻そうとするが、財布の持ち主はマンションで死体に・・

伊坂幸太郎らしい、テンポの良い軽快な文章。愉快なキャラクターたち。
洒落た会話、張り巡らされた伏線。
うん。満足。

陽気なギャングが地球を回す (祥伝社文庫)

・・・って、あれ? Amazon見て気がついたけど文庫があるのか。わざわざ高い新書版を買って読んでしまった・・
--以下ネタバレあり--

全編、愉快な会話と伏線と、シニカルな笑いにあふれていて、どこも好きなのだけれど、中でも気に入っているのは久遠と成瀬がパチンコ店で立ち回りをするシーン。
久遠の

大人が全員論理的だと思うなよ

という独白につながるくだりが好み。
む。最近ストレスでもたまってるのか? まあ、いいじゃないか。シャンパンから飛び出したコルクみたいにスカッとしたいこともあるんだから。

ストーリーは紆余曲折あるけれど、読後感も爽やか。
他作品ほどの鮮やかさはないかもしれないけれど、気持ちよく読める一冊。

この作品、昨年映画化されている(映画公式サイト)。
暇なときに、DVDでも借りて見てみるかなぁ。映画は別に嫌いではないけれど、映像って、活字に比べて情報量が少ないので、最近は、あまり積極的に見てない。
原作モノは、原作の風味を期待して見るとガッカリすることも多いし。見るべきかどうか微妙かな。原作の出来が良いだけに。
響野とか、久遠とか、うまく演じてくれないと鼻につきそうだし、雪子の時間感覚も、映画で表現するのは難しいかも?
評判を調べてから考えるか。。

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[2007.10.31(Wed) 20:57] サスペンスTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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ハズバンド 

2007年05月22日 ()
ハズバンド ディーン・クーンツ

クーンツは、私がまだ学生の頃、ディーン・R・クーンツ時代にはよく読んだ作家。この人の一番の傑作は、ストレンジャーズの上巻だと思う。一冊の物語としては、ウォッチャーズが一番好きだけれど。犬を飼うなら、絶対に名前はアインシュタインにしようと心に決めていたり。

ま、それはともかく、久しぶりによむクーンツの新刊。
話の展開は、やや強引。妻が誘拐され、誘拐犯は本気であることを示すために、通行人を射殺する、という展開から始まる。

ハズバンド


おいおい、ちょっとやりすぎじゃないのか? と思うけれど、読み進めていくと
--以下ネタバレあり--

この出来事も主人公を陥れる罠の一環であることが明らかになって、(やや)納得。

クーンツらしく、次から次に起きるピンチと急展開、急転換する事態にがっちり捕まえられて、ぐんぐん読み進めていける。
物語の展開は、クーンツ読者にはお馴染みの勧善懲悪。主人公は、これといった美点を持たない平凡な男だけれど、事件の中で戦う強さを呼び覚まして悪と対決し、最後はハッピーエンド。

まあ、安心して読めるといえばそうなのだけれど、基本は単純な構図でありながら、読者を飽きさせないスリリングな展開をつないでいく力は見事だと思う。
どんな物語を書いていても、人生に対する前向きな姿勢、人間性に対する賛歌を歌い続けるクーンツの姿勢はあっぱれ。

でも、クーンツの敵役ってあまりに単純で判り易い「悪」。このせいで、読後しばらくすると物足りない感じをうけるのも確か。もう少し、考えさせるものがあっても良いと思うのだけれど、それは他の作家に求めるべきものだろうか。

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[2007.05.22(Tue) 23:03] サスペンスTrackback(0) | Comments(0) 見る▼
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