対決の刻 ディーン・
クーンツ謎の敵から逃げ続ける、犬を連れた少年。自分をミュータントだという、手足が不自由な少女。殺人者であるという彼女の義父。重病の妹を支えて生きる私立探偵。
並行して走る複数の物語が絡み、やがて一つに集約していく。
”生きる価値”のない者、”生きていて苦しむ者”は、殺すことが慈悲なのか。
命の尊厳を問いかけながら、物語はハイスピードで疾走する。
クーンツお得意の、複数の物語が並行して進み、最後に一点に集約するパターン。ストレンジャーズの時が、この手法が一番光っていたかな。伊坂幸太郎もこういうのが好きだけれど、あちらは、時間のトリックを織り込んだ応用系。
クーンツの方は、もっとシンプルにそのままの時系列で話が進む。
この作品、上巻が663ページ、下巻が496ページ。
なぜ、上下巻の厚さのバランスがこんなに狂っているのかと、少し不思議に思いながら読み進めたんだけれど、
--以下ネタバレあり--
読んでみて納得。確かに、あそこで切るしかない。
そして、物語のポイントの一つは、
クーンツ好きにはお馴染みの犬好き。
ただ、オールド・イェラーよりも、「ウォッチャーズ」のアインシュタインの方が、圧倒的に私の好み。オールド・イェラーは、確かに良い奴だけれど、今ひとつキャラが立っていないのが残念。
彼女自身の感情表現とかが、本人(?)のセリフとして出てこないのが、キャラが立たない原因か。そりゃ、細かい仕草とか、行動のギャップとか、書き方が洗練されてきているのは感じるんだけれど、
クーンツの犬好きが先走ってしまっていて、犬に強い愛着を抱いていない読者が置いていかれているように感じる。
クーンツ的な風呂敷の広げっぷりと、案外あっけない敵の脆さは健在で、今回”カ^ティス”を追ってきた敵も、双子の銃撃であっさり撃沈。まあ、あれ以上、あそこで時間を割いても仕方のないところだけれど、もう少し引っ張ってくれても良かったかな。
登場人物が多くて、皆、個性的でキャラが立っているのだけれど、ノアの役どころは、ちょっと中途半端だった気がする。物語のテーマである、生命倫理の問題に直面した一人としての彼は必要だけれど、正直、マドックとの対決にノアは不要だったと思うので、もう少し彼の見せ場が欲しかったところ。
・・とまあ、文句をあれこれと書いたけれど、
クーンツらしくテンポが良く、一気に読める一作。
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