環境・資源・エネルギー問題解決のための独創エネルギー工学 西澤潤一 他
資源・エネルギーの不足、環境破壊という問題を解決するための、いろいろなテクノロジーについて書かれた本。
第1章 限界と危機―21世紀のエネルギー問題
第2章 膨大なる未利用エネルギーの活用―水力発電の復活
第3章 究極の自然利用エネルギー―バイオマス・エネルギー
第4章 非食料の草木からエネルギー―バイオメタノールは明日から使える
第5章 「エネルギー」・「環境」・「廃棄物処理」を統合―水熱化学で夢の循環システム
第6章 水熱化学で放射性廃棄物問題を解決―人工堆積岩と原子力発電
第7章 西澤独創技術で実現する―高効率な直流送電方式
第8章 東西、南北で電力貿易―世界をつなぐ地球パワーネット
あまり見かけないバイオ「メ」タノール(よく聞くのはバイオ「エ」タノール)の話や、原発の放射性廃棄物の新しい処理方法の話、そして、世界中を結ぶ、低損失な直流送電のネットワークの話と、情報が盛りだくさん。
読みやすいポピュラーサイエンス的な本ではないけれど、いろいろと面白い視点や、新しいテクノロジーが豊富なデータと共に書かれていて面白い。
エネルギー、環境問題については、今主流になっているものだけでなく、こういった色々な技術を考えていく必要があるんだろう。

個人的には、直流の送電方式についてあまり知らなかったので、この部分が新鮮だった。
電気抵抗の問題は付いて回るだろうけれど、国家間で電気の貿易ができるようになったら、効率的な発電ができるのは確か。すでにアメリカ・カナダ等の間では行われているというから、世の中は進んでいる。
もっとも、安全保障の問題で、電力貿易の範囲は限られそうだけれども。
ところで、この手の代替エネルギー関係で気になる記事が、最近ちらほら。
急成長する太陽エネルギー産業に潜む環境破壊 (CNET)
バイオ燃料製造の副産物による環境汚染:報道が相次ぐ(WEIRED VISION)一件目は、太陽電池に使われるシリコンの生産のために、中国企業が有毒廃棄物を垂れ流しにしている、という話。
また中国か、という無かれ。二件目は、アメリカの”クリーン”エネルギー企業が、廃棄物を垂れ流したり、関連法規を破って罰金を受けている、という話。
アメリカではエネルギー関係のベンチャーが大量に立ち上がり、世界的にも投資が盛んなようだけれど、”化石燃料を使わない”という美名に誤魔化されず、しっかりと他の問題も考えて活動してもらいたいものだ。
上記の記事の様な毒性の強いものを廃棄している問題に限らず、”再生可能なエネルギー”を使っていても、それによる環境破壊は十分に考えられる。潮汐や海水温の差を使った発電システムは、どう考えても、周囲の生態系に影響をあたえるだろうし、二酸化炭素の吸収量を増やすために、海中のプランクトンの量を増やそうとするのも(漁獲には良いかもしれないが)そのままの環境を変えてしまうことには変わりない。
バイオメタノールの原料を育てるために、元々の森を伐採する必要も出てくるだろう。
人と自然との共生は、本当に難しい。
もっとも、人は自然と”共生”などできない生物であり、都合の良いように自然を”改変”するしかないのかもしれないけれど。