偽装管理職 東京管理職ユニオン監修
これもある意味、課長の教科書。
「管理」職とは名ばかりの、残業代をカットするためだけの「管理職」=「偽装管理職」に就けられ、その待遇を改善するために会社と闘うことを選んだ人たちの記録。
最近では、マクドナルドの店長が、残業代を支払わないのは不当だとして裁判を起こし、勝訴したことが記憶に新しい。
『はじめての課長の教科書』のエントリにも書いたけれど、いわゆる「管理職」と、労働基準法で言うところの「管理監督者」とは、全く違うもの。
でも、大半の企業は、「管理監督者」の基準を満たしていない「管理職」に対し、「管理監督者」と同じルールを適用している。
では、管理監督者とはどういうものなのか? 以下、本書から引用。
労働基準法の解釈によれば、管理監督者とは次のようなものとされる。
a 自分で自由に出退勤ができる
b 人事権を持つなど、経営と一体化した立場にある
c 立場にふさわしい待遇・報酬を得ている
この基準で考えると、係長とか、チームリーダーとかはもちろん、課長だって「管理監督者」ではないことがあるだろう。
偽装管理職
(また、画像なし・・・)それにしても、この本に挙げられている例は、とんでもなく悪質なものが多い。
新人をいきなり管理職として現場に放り込んだり、パワハラで散々叩いてみたり。「会社は俺のもの」的な中小企業から、名の知れた大企業まで。コストダウンのための偽装管理職の問題は蔓延している。
そうは言っても、残業代を出していたら、会社がつぶれてしまう?
会社は、社員に甘えすぎだ。
社員も、会社に尽くしすぎだ。
日本の生産性の高さは、労働者が無給でサービス残業をしたことによる嵩上げが大きかったのでは、という説を聞いたことがあるけれど、サービス残業、管理職の残業代カットの状態を見ていると、その説にも説得力があるのが悲しい。
濡れ手で粟の報酬をよこせとは言わない。それでも、働き手が明るい将来を持てるような、そういう支払いは出来ないものか。。
現実問題として、よほど追い詰められない限り、会社を相手に裁判を起こすことは難しいと思う。さらに裁判のあとも、同じ職場に居続けるというのは、経営層から白眼視される可能性を考えると、とても厳しいだろう。
正直、今いる場所を変えるエネルギーを使うよりは、新しいところに移ったほうが良い、ということもあるだろう。というか、その方が多いかもしれない。
それでも、失われたものを取り戻し、多少なりとも社会を変えるということには価値がある。実際に行動を起こすかはともかく、偽装管理職イエローページなる巻末のリストもあるし、正当な権利を自覚する意味でも、待遇に悩む管理職には読んで欲しい一冊。
・・・・あるいは、管理職を使う立場になろう、という人にも。
待遇が嫌で今の会社を飛び出して、自分で作った会社で「偽装管理職」を拡大再生産してたら目も当てられない。
おっしゃるとおり、会社を相手に裁判をするのは、現実には相当難しいですからね。なんとか出来ないものかと思いますが・・・。