「世界有数の犯罪都市」と言われるヨハネスブルグ(ツワネ)を擁する南アフリカでの開催となる2010年のサッカーW杯。
ドイツW杯を機にドイツヨーロッパに移り住んだほどの著者が、体当たりの現地取材で調査した現状のレポート。
前回のドイツ大会では、日本人も大挙してドイツに行ったのだけれど、次回の南アフリカ大会は・・・この本を読むとはっきり言って、怖くて見に行くのはお薦めできない。
とにかく治安が悪い。
以下、本書でも引用されている、外務省の
海外安全ホームページより
ヨハネスブルグのダウンタウン地区(カールトンセンター付近からヨハネスブルグ中央駅及びヒルブローに至る地区)では、殺人、強盗、強姦、恐喝、暴行、ひったくり、車上狙い、麻薬売買等の犯罪が時間、場所を問わず発生しています。
これらの事件は白昼、人通りが多い所でも発生しており、中には長距離バスから下車した直後に襲われた例もありますので、可能な限り公共輸送機関の利用は避け、同地区には立ち入らないようお勧めします。
なお、タクシーの利用については、信頼できる業者が少ないため、旅行者の方にはお勧めできません。
・・・・・。
また、今までに比較的安全とされてきた市郊外においても、ショッピングセンター内の銀行や宝石店に武装強盗団が押し入り、警備員や駆けつけた警官との間で銃撃戦となった事例が増えています。また、在留邦人がよく利用するレストラン周辺でも拳銃強盗被害が発生していますので、注意が必要です。
・・・・・・・・・まあ、こんな感じの土地。
W杯の予選抽選会でも、大会関係者が泊まった、厳重に警備されていたホテルで大会役員のスーツケースが盗難されたり、と油断も隙も無い。
おまけに、予選抽選会の直前、FIFA関係者に招待されていた観光客が、電流が流れる鉄柵で守られていたゴルフ場内で射殺される始末。
また、スタジアムという箱は作っているけれど、そこまでの交通機関が追いついておらず、宿泊施設の準備も追いついていない。あまりに追いついていないので、大会の「公認」宿泊施設として、ちゃんとしたホテルではなく、自宅を改装したゲストハウス等も登録している異例の事態だという。
そういったゲストハウスは郊外にあることが多く、安全な移動ができるか心もとない。

とまあ、とにかくマイナスの要素が多いのだけれど・・・
こんな危険な国で大会を開くのは、FIFA内の政治的な都合+『
レアメタルパニック』などでも述べられているように、レアメタル資源が豊富な南アフリカにいい顔をしておきたいという、国際政治の都合。
そのために、のこのこ出かけて行って被害にあうのでは、サッカーファンはたまったものではない。
よほど、覚悟して厳重な自衛策を取らない限り、行って無事に済むとは思えない。
とはいえ、著者は南アフリカ大会には期待している。
アパルトヘイトが終わったとは言いながら、その影響が色濃く残っているかの国の国民が一つになるために、サッカーが一つの役割を果たしてくれるのではないか、と。
確かに、スポーツには人を結びつける魅力があるし、本書の終盤を読んでいると、著者のサッカーへの愛を感じる。
その気持ちはわかるけれど、正直自分で行きたいとは思えないし、周囲に行こうとする人がいれば、止めてしまうだろう。
成功はして欲しいけれど、それに対して、自分や周囲の人が積極的に参加できるかというと、ちょっと無理という、総論賛成、各論反対という情けない感想しか持てないのが、ちょっと悔しいところ。
出来るのは、この機会に、かの国の現状に対して目を向けることくらいか。。